【nana's green tea 2025年福袋】和紙の手触りを暮らしのそばに 山次製紙所が目指す"「あたりまえ」の和紙"作り【越前和紙】
前回の記事では、「越前和紙」ってどんな紙?ということや、和紙の作り方についてお届けしました。
2025年福袋商品「手漉き越前和紙を使ったお茶缶」をもっと素敵に楽しむための記事、第二弾。
今回は、お茶缶に使用する和紙を製造いただいた「山次製紙所」さんからお届けします。
福井県越前市大滝町。
大徳山の麓の静かな街に、「山次製紙所」さんはあります。
工房内に、カラフルで綺麗な紙がたくさんかかっていますね。
もちろん、これらはすべて「山次製紙所」さんで漉かれた紙。
nana's 福袋のお茶缶に使われている和紙と、同じ方法で漉かれています。
「山次製紙所」さんは、明治元年創業。
創業当時は奉書紙など、 無地の手漉き和紙を製造していたそうですが、昭和初期頃から美術小間紙(びじゅつこまがみ)を製造するようになったそう。
美術小間紙とは、上の写真のような趣の紙で、小物や包装紙などに使用されている装飾的な和紙のことです。
この紙をよく見てみると、絵柄の部分にほんの少し凹凸があるのがわかるでしょうか。
実はこの紙、「浮き紙」と名付けられた、山次製紙所さんのオリジナル和紙なんです。
型を使って漉く「浮き紙」は、絵柄の細かい部分、とりわけぴんと立った鋭角まで表現できるのが最大の魅力。
(12月以降は、お茶缶のサンプルを展示する店舗もありますので、ぜひ実際に手に取って見てみてくださいね)
今回のお茶缶は、チャノキがモチーフのデザインです。
よく見てみると、葉っぱ部分の葉脈のエッジや、花のおしべの部分の細かい表現が、繊細に浮き出しています。
凹凸で手触りもほんの少し違います。
(工房内には、いろいろなデザインの「浮き紙」を使用したお茶缶も並んでいました!)
この「浮き紙」という紙と、そのブランドは、2017年に誕生しました。
「浮き紙」は名前のイメージ通り、凹凸によって絵柄が表された紙。
これは、山次製紙所さんが編み出した、オリジナル技法を用いて漉かれています。
「浮き紙」は、和紙の新たな可能性を模索するために始まりました。
洋紙が日本にもたらされるまで、「紙」と呼ばれていたのは、現代で言うところの「和紙」のこと。
それほど古くから日本の生活に深く根付いていたものなのに、現代の生活では、その多くが洋紙や他の存在に置き換わってしまっています。
現在の暮らしにおいても、もっと和紙に触れる機会を増やしていきたい……。
従来の和紙の使い方にとどまることなく、新たな挑戦を続けていくためのブランドを作り出す。
それが「浮き紙」です。
さて、それではお待ちかね、実際に紙を漉いている工房におじゃましてみましょう。
よく耳を澄ますと、紙を漉くささやかな水の音……。
「浮き紙」の製造現場に直撃!……と、思いましたが、「浮き紙」の作り方は工房の秘密なのだそう。
工房に伺った8月下旬、こちらでは、2025年のカレンダーを作成していました。
(上の写真は、カレンダーの土台となる大きな黒い紙を漉いているところです。)
「浮き紙」とは異なりますが、このカレンダー制作の中から、「ひっかけ」と「流し込み」という技法を今回はご紹介します。
工房内で、2025年の干支・巳の金型を発見!
(写真では反対向きになっています)
これをまずはざぷんと、紙料に沈めてしまいます。
紙料からあげた金型の縁に、
ほんのり白く、紙の繊維が引っかかっているのがわかりますか?
これが、「ひっかけ」という技法の名前の由来。
この繊維が引っかかった金型を、繊維を下に、ぐっと簀(す)に押しつけます。
そのまま、金型に沿って、いろいろな色をつけた紙料を「流し込み」ます。
金型で堰き止めながら紙料を流し入れることで、多数の色や質感を隣り合わせることができます。
ひとつの金型を使って、「ひっかけ」と「流し込み」の合わせ技で絵柄を作っていくんですね。
すべての箇所に紙料を入れ、水気が落ちたところで金型を外すと……
巳の絵柄ができました!
これを先ほど漉いていた土台の紙に移し……
乾かしたら出来上がりです(このあともいくつか工程があります)!
ひとくちに「手漉き和紙」といっても、さまざまな技法があるのですね。
また、別の職人さんは、ラベルなどに使われる小さなサイズの和紙を漉いていました。
ここでの和紙づくりは全てが手作業。
伝統工芸士をはじめとした職人さんたちが、皆さんそれぞれ、一枚ずつ紙を漉いています。
もちろんnana's 福袋のお茶缶に使用している和紙も、全て手漉きです。
こうして一枚ずつ、実直に、丁寧に、漉かれた紙が、お茶缶として皆さまの暮らしの中に馴染んでいきます。
今回、工房などを案内してくださったのは、「山次製紙所」の代表・伝統工芸士の山下さん。
お話を伺う中で、「越前和紙の良さをもっともっと多くの方に広めたい」という想いを強く感じました。
1500年続く伝統的な工芸品である「越前和紙」。
山下さんは、和紙を、今の時代の「あたりまえ」にしたい、と語ります。
伝統工芸品だから良いものなのではなく、良いものだから、はるか昔から現代まで使われ続けている。
そして、私たちが使い続けているから、もっと先の未来へと受け継がれていきます。
nana's green teaの福袋では、そんないろいろな"日本のいいもの"たちが、私たちの普段の暮らしの中に選ばれる、ひとつのきっかけになりたいとという想いで、これまでさまざまな商品をピックアップしてきました。
2022年は「今治ハンカチ」、2024年は「萩焼」、そして2025年は「越前和紙」。
nana's green tea 2025年福袋を通じて、たくさんの魅力が詰まった越前和紙がすぐそばにある生活に、あなたも触れてみませんか。
ちなみに、福井県越前市には、「越前和紙」の他にも地元で作られている品物がたくさん。
漆器や、打刃物、箪笥などなど……。
お隣は、眼鏡で有名な鯖江市です。
2024年春、北陸新幹線は金沢〜敦賀まで延伸しました。
今回訪れた越前市は、敦賀駅のひとつ手前「越前たけふ駅」あたり。
古くは紫式部が暮らした場所、ということでも今年は注目されました。
ぜひ越前市に足を運び、工芸品が生まれる実際の気配も感じてみてくださいね。
「山次製紙所」
公式HPはこちら・公式Instagram(@yamatsugi_seishisyo)
各種商品のご購入は山次製紙所の公式オンラインストアから
<nana's green tea 2025年福袋>
各店舗でのご購入について詳しくはこちら。
公式オンラインストアでも販売します。
手漉き越前和紙のお茶缶が入っているのは¥8,500セットのみです。
これからひとつずつ商品の紹介をしていきますので、実際の商品と合わせて、nana's journalの記事もお楽しみに。
ひとつひとつの商品が、きっともっと素敵に楽しめますよ。
<これまでの特集記事>
お茶缶①:伝説を現代に受け継ぎ、未来へと繋ぐ 清水と技術で作り上げる越前和紙【福井県越前市】
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